芙蓉石は、宦渓鎮の東側の山頂に産する。色が清潔でみずみずしく、開きはじめた芙蓉の花に似て優しくうっとりするので、この名がつきました。明末清初に開発されたが、初期の石質はやや粗雑で、かつ砂団を多く含み、品位は寿山に産するものに遠く及ばなかった。乾隆(1736~1795)年間に将軍洞芙蓉を世に問うてから、初めて頭角をあらわし、文人墨客の賛美を受け、石中の君子と称えられ、印石「三宝」の列に身を置き、田黄・鶏血とくつわをならべられ疾駆した。
古くは、人々は玉を君子に比して歓んだ。『詩経』に「言れ君子を念うに、穏やかなることれ玉の如し」とあります。南宋以後、上層階級は印石愛蔵の風潮がだんだん盛んになり、文人達は石を鑑賞し、石を品評することを脱俗の風雅と見なしました。芙蓉石は、その清潔で、凝固してきらめき、俗世とはかけ離れ、君子の風格があるので、文人達はより一層珍重愛玩しました。
寸法 : 145.8X85.9X49.5mm/754g