分子量 : 232.656
金属元素重量分率 : Hg 0.8621
結晶系 : 三方晶系
比重 : 8.1
硬度 ; 2.5
劈開 : 一方向に完全
本標本は、スペイン・シウダ・レアル県アルマデン(Almadén)産の辰砂(硫化水銀:HgS)で、世界的に著名な水銀鉱床から産出した高純度標本です。アルマデン鉱床は、古代ローマ時代から近代に至るまで水銀の主要供給源として利用されてきた歴史的鉱床であり、結晶学的・地球化学的研究において重要な参照産地とされています。本標本は、辰砂特有の深紅色を呈し、結晶面の光沢および結晶集合の緻密性が良好に保持されています。結晶は三方晶系に属し、反射光下で金剛光沢を示します。比重は約 8.1 と高く、硫化鉱物として典型的な物性を示します。
堆積岩や珪岩、また班岩及び蛇紋岩中などに、水銀や鶏冠石、白鉄鉱、及び黄鉄鉱、方解石、石英などと共に、6角板状や柱状結晶体で、また他には貝殻状や土状、塊状などで産出します。水銀と硫黄の化合物で、水銀としての用途以外に朱色の顔料として利用されていました。また、この標本の表面に銀色の丸い粒がにじみ出ていますが、これは自然水銀です。辰砂は自然水銀の次に水銀含有率が高い鉱物で、水銀の主要な鉱石です。自然結晶はごく稀で、比較的低温の熱水作用によって生成されます。辰砂は朱色の顔料として利用されていましたが、水銀が有害な為、現在では利用が制限されています。原産地のアルマデン(Almadén, Spain)は、世界最大の水銀鉱床で、2000年以上にわたり採掘が続けられてきた歴史的鉱山です。アルマデン鉱床は、火山性—熱水性活動に起因する水銀鉱床で、主にシリカ質岩体および断層帯に沿って辰砂が沈殿・晶出しています。本産地の辰砂は、熱水溶液からの沈殿過程や水銀の地球化学的挙動を研究する上で、国際的に重要な比較標本として扱われています。
■ 用途
本標本は以下の研究用途に適しています。
鉱物学・結晶学的観察 微量元素分析(ICP-MS、EPMA 等) 熱水鉱床形成過程の研究 地球化学的参照標本としての利用 教育機関での教材標本
⚠️ 安全性について
辰砂は安定した硫化水銀(HgS)であり、通常の固体状態では水銀蒸気の放出は極めて限定的です。ただし、粉砕・加熱・摩耗 により水銀化合物が遊離する可能性があるため、以下の点に留意してください。
※ 辰砂は水銀を含むため、粉末状にして吸入・摂取すると有害
※ 結晶や塊状のままであれば安定しており、通常の観賞・収集には問題なし
⚠️ 安全な取り扱いのポイント
※ 加工・研磨は避ける(粉塵が発生するため)
※ 長時間の素手での接触は避け、展示時は密閉ケースが理想的
※ 小さなお子様やペットの手の届かない場所に保管
※ 取り扱い後は手洗いを忘れずに
宝石の国で選ばれた鉱物です。
寸法 : 80.3X62.2X37.8mm/253.5g








