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結晶の幾何学な美しさ、集合組織の面白さ、豊かな色彩など、鉱物は絵画や彫刻の鑑賞にも通じる楽しみを与えてくれます。それが天然の造化の妙であることを知る時、私たちは自然の世界を思う心に満たされます。鉱物は、地球の物質循環の語り部でもあります。地球を構成する鉱物は、ビックバンによって生成された元素が宇宙空間で凝集し、更に半径6500kmの惑星内で再構成されて出来たものです。地球の中心と地表との間には、現在でも6000℃の温度勾配があり、熱エネルギーの移動がマントル対流やプレート運動となって地球の物質循環を引き起こしています。地球は、間欠的に発生する地震や火山の噴火というショックによって、また温泉の恵みによっても、その物質循環が進行中であることを知らせてくれます。化学組成と温度圧力の異なる循環を物質が循環する時、鉱物は生まれ、変化し、消滅します。鉱物は、絶え間ない変化の一断面を体現したものであり、地中に咲く花にもたとえられるでしょう。美しい鉱物を愛でながら、私たちの生涯の何千万倍にも及ぶ地球の歴史に思いを感じて頂きたい。それは、現在生きている人に許された楽しみです。天然資源と時間の制約から逃げられない日常生活だからこそ、私たちにとって大局観を持つこと、また己の利害を超えた視座を獲得することは有意義なことであります。
下記の全項目をクリアする物質のみが鉱物と呼ばれる資格を持っています。
・天然に産出する、固体無機物質
・その組成は、化学式によって記載出来る
・構成元素の配列が規則的である。つまり結晶質である
(結晶の規則的な外形は、原子・イオン配列の規則性の反映である)
・物理的な性質が、狭い範囲に収まる
また、琥珀は有機物なので鉱物には含めない。オパールは天然に産出する無機固体物質であるが、非晶質なので鉱物とは区別し、準鉱物としています。
水銀は、液体なので鉱物としない。
この様に鉱物の定義はかなり厳密です。
現在の鉱物は、国際鉱物学連合の中に設置されている新鉱物・命名・分類委員会(Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)で定義されています。その定義による最も基本的な要素は、
* 一定の化学組成
* 一定の結晶構造
* 地質学的な過程を経て作られた
です。
最初の二つは、鉱物の様々な物性、例えば結晶系、硬度、密度、色、光沢、劈開、光学性などを決定付ける重要な要素です。この要素で人工的に作った物質でも鉱物と同じですが、地質学的な過程を経る要素が鉱物の決め手となってきます。
この地質学的な過程を経て作られたを、分かりやすく言えば地球が作ったとなります。
地球を構成する物質を呼ぶのに、岩石、鉱物、鉱石など様々な言葉が、日常的に使用されている。
端的に言えば、地殻を構成する最小単位が鉱物である。
岩石を細かく砕いていくと、均質な粒子に辿り着く。
その粒子の中では、どこをとっても同じ組成と同じ物性を持っている。
その先、どんなに細かく砕いても、性質の異なる粒子は現れない。
その粒子が地殻の最小単位となっている鉱物である。
鉱物の魅力の一つは、その造形的な美しさにあります。
結晶が見せる規則正しい外形は、結晶内部の規則的な原子配列の結果です。
一方、鉱物が限られた空間で成長する時には、その外形は結晶の内部構造を素直に表現した形になるとは限りません。
成長する結晶同士が空間を奪い合うように全方向に成長し、団子のような魂を作ることもあります。
また、鉱物集合体の形は、結晶が成長する時の環境を知るためのヒントを与えてくれます。
鉱物の特徴を表すとき、種類を見分けるときに、鉱物の色は重要な情報であることが多いです。
それは、鉱物の色が化学成分を反映しているからです。
例えば、緑色の鉱物には銅、クロム、または鉄が含有していることが予想されます。
同じ緑色でも色彩の微妙な違いで、鮮やかな緑色はクロムの含有、渋い緑色は鉄の含有、紫色はマンガンの含有と推理出来ます。
また色のない鉱物には発色の要因となる元素はほとんど含有していないので、成分を予測する時には、遷移金属元素などを除外することができます。
1959年以降に発見された鉱物の名前は、原則的に国際的な審査で承認を受けています。
鉱物は基本的に結晶質の固体と定義されますが、それは私たちが住む環境下のことです。希にはとんでもなく低温あるいは高温が記録されるかも知れませんが、気温は普通-30度から+50度ほどと考えられます。また、気圧は低気圧などの台風はあるものの、ほぼ1,000±50hPaです。この様な常温常圧もとで結晶質の固体になることが出来れば鉱物として取り扱います。
水の状態では鉱物とみなさないが、氷は一気圧(1,013HPa)0℃以下で結晶質の固体となるので鉱物となります。自然に産する水銀は常温常圧下では液体ですが(1気圧、約-39℃以下で固体)になるので、例外的に鉱物として扱っています。また、固体であるが結晶質でない(火山ガラス、オパール、琥珀など)も鉱物です。
海水が干し上がった後に、白い粉の様な塩が出来ます。これは岩塩という塩化ナトリウムの鉱物です。一度、実験して見て下さい。また、火山の噴気孔の周辺では、火山ガスが減圧急冷し、含まれていた気体状の硫黄が結晶質の鉱物となっています。これらは、実際に見ることは可能だと思います。しかし大部分の鉱物は、常温常圧を超えた環境下で生成されています。
基本的に鉱物は、(1)熔融体(マグマ)や液体(熱水・海や湖の水)、気体(火山ガス)に溶け込んだ化学成分が温度圧力の低下で固体となることで出来ます。また、(2)いったん出来た鉱物が液体や気体と反応して別の鉱物になり、あるいは1種類の鉱物または近接する異なった種類の鉱物が、ある温度圧力のもとで反応して新たな鉱物を作ることもあります。
(1)マグマから直接出来た岩石は、火成岩という名前で呼ばれています。地下でゆっくり冷えて固まると深成岩、地表に噴出して短時間で固まると火山岩と区別されます。元になったマグマの化学成分が同じであれば、構成される鉱物(造岩鉱物)の種類はほぼ同じですが、深成岩と火成岩では鉱物の粒や大きさや配列の様子が大きく異なります。
花崗岩は石材によく使用される深成岩で、石英、長石、雲母などの鉱物粒がはっきりと分かります。その火成岩に相当するのが流紋岩で、造岩鉱物の粒はずっと細かくなり、名前の様に流れた様な模様が見えることが多いです。更に鉱物粒がほとんど無く、全体が急冷したガラス構造になることもあります。これの代表的なものは、オブシディアンです。火成岩は、主成分の二酸化珪素(シリカ)の含有量でおおまかに分類されます。更に造岩鉱物である石英、アルカリ長石、斜長石、準長石の組成比などによっても細分されます。
(2)のメカニズムは、広い意味での変成作用に相当します。そのうち、低温で行われるものは変質作用とも言われ、雨水、地下水、空気などと鉱物が反応する過程です。例えば金属鉱床の地表近くで、銅や鉛、亜鉛などの酸化物をもとに、色とりどりの鉱物が出来ます。そういった場所を酸化帯と言い、鉱床発見の指標となります。高温の熱水と既存の岩石が反応することでも、色々な鉱物が出来、熱水中に有用金属成分がたっぷり入っていれば、そこで鉱床も作られます。このタイプの鉱床をスカルトン鉱床と呼びます。
岩石が地球の深部に沈み込んでいくと、より高圧高温にさらされます。その中のある種の鉱物、あるいは全ての鉱物が元の姿でいられなくなると、その場に適応した別の鉱物に変化します。そして、その変化した姿のまま地表に上昇してきたのが変成岩です。
鉱物は、様々な原子やイオンが凝集し、電気的な中性を保ちながら、規則正しい配列を作った物質です。鉱物は置かれた環境で居心地が良ければ生きながらえ、そうでなければ、分解して他の鉱物にスペースと元素を譲りまたします。生物界の世代交代、食物連鎖は鉱物界の一般事情でもあります。地球の物質は、大きく循環しています。一つは大気圏、水圏、生物圏を巡ります。空気、二酸化炭素、水などの動きであり、太陽から放射される熱エネルギーによって駆動されています。サイクルは比較的早いです。もう一つのサイクルは、地殻を載せた上部マントルが地球表層を移動し、沈み込んだ帯から再び地球内部へと吸収され、海嶺やポットスポットで海洋地殻として再生する動きであります。地球内部は熱エネルギーによって駆動されており、サイクルは億単位です。海から蒸発した水は雨となって陸地にふりそそぎ、雨は集まり川となって地球表層の岩石を削り取って海へと運び出します。海底に堆積した、泥、砂、生物の遺骸は圧密されて岩(堆積岩)になります。プレートが沈み込む地帯では、海洋地殻の上の遠洋性堆積物が、火山島、珊瑚礁などと相まって陸側に掻き寄せられ、陸源の堆積物と混じって複雑な地層(付加体)を作ります。その一部は、プレートの動きに引きずられて地下深部に至り、著しい変形と再結晶をおこす(広域変成岩)。地球深部の高温環境に引き込まれた海洋地殻は脱水し、上方の上部マントルに水を供給します。水は岩石の融点を下げマグマは地殻中を上昇し、地殻上部の岩石を熱変成させます(接触変成岩)と共に、大部分は地下に留まって固結します(深成岩)。マグマの一部は地表に絞りだされて火山を造ります。(火山岩)
現在、4500種以上の鉱物種が知られています。
それらは、化学組成により、元素、硫化、硫塩、酸化、水酸化、ハロゲン化、炭酸塩、硝酸塩、硼酸塩、硫酸塩、クロム酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、燐酸塩、砒酸塩、バナジン酸塩、珪酸塩の各鉱物に分類されています。
また、珪酸塩は珪酸四面体の並び方の幾何学的な規則性に基づいて、更に、ネソ、ソロ、シクロ、イノ、フィロ、テクトの各珪酸塩鉱物グループに細分されています。
*化学式 : 元素記号を使って、鉱物の化学組成を示したものです。
*分子量 : 鉱物の分子を構成している原子の原子量の総和。
*金属元素重量分率 : 鉱物の分子中に占める金属元素の重量割合。
*結晶系 : 等軸、正方、六方、斜方、単斜、三斜の6つの結晶系に分類。
*比重 : 水を1としたときの重さの比率。
*劈開 : 鉱物の結合の弱い一定の結晶面に平行に剥離することで、そのへき開面は原子層の間、もしくは原子結合がもっとも弱い部分。完全、不完全、明瞭、不明瞭、なしなどに分類。
*色 : 色は鉱物の自然光による外観色。
*光沢 : 光沢は鉱物の表面の光の反射の仕方で、鈍い、金属、真珠、ガラス、油脂、樹脂、絹糸、金剛などに分類。
*透明度 : 鉱物の標本が光を通す程度のことで、鉱物を通して物が見えれば透明、光は通ってても物が見えなければ半透明、鉱物をいくら薄くしても光が通らなければ不透明などと分類。
地球は半径が6378kmもある惑星です。その地球の内部に何があるのか?
質量が1kgの物体を動かす力と、地球の半径から万有引力の法則により地球の資質を計算し、求めた地球の密度は5.52g/cm³です。
一方、大陸を代表する岩石である花崗岩の密度は2.65g/
cm³、マントルに起源を持つ橄欖岩でも密度は3.3g/
cm³であり、地球の平均密度よりもかなり小さなものです。
地球の内部には、花崗岩や橄欖岩よりも何倍も重い物体が入っています。
その物体が何で、どのくらいの大きさなのかは、地震波の観測に基づいて推定されます。
物質は圧力の上昇によって密度が高くなり、密度が高いほど地震波の伝播速度は速くなります。
地球が均質なら深さに比例して、地震波速度が速くなるはずですが、実際には速度が不連続に変わる深度が4つあるので、地球内部には5つの層があるとされているのです。
地表から7-40kmを地殻、その下から低速度層を経て670kmまでを上部マントル、その下部2900kmまでを下部マントル、2900-5150kmを外核、5150kmから地球の中心までを内核と呼んでいます。マントルは橄欖岩やそれが高圧で変化した岩石で出来ていますが、核は重い鉄とニッケルの合金で出来ており、地球の平均密度を高めているのです。
地球の中心温度は約6000℃、外核の表面温度は約3000℃と推定されているのです。
地球の核と地表の間には大きな温度差があり、その為にマントルはゆっくりと対流を続けています。
この対流が地球表面を覆うプレート間の相対運動や、プレートの中にスポット的に出来る巨大火山の位置をコントロールしているものと考えられています。
その考えによれば、地表から沈み込んだ冷たいプレートがある程度蓄積した後で、マントルの底まで落ちていき(コールドプリューム)、代わりに熱い物質がマントルの底から地表へと間欠的に湧き上がってくる(スーパーホットプリューム)という壮大な物質循環が存在することになります。
地球の表面を占める岩盤を地殻と呼んでいます。海底では4~7kmにすぎませんが、大陸部では25~40kmもの厚さになります。地表に現れた岩石の化学分析によって地殻の平均組成が見積もられます。地殻を構成する元素の量比には極端なメリハリがあり、多い方から10番目までの元素が酸素、次に珪素、アルミニウム、鉄、カルシウムと続きます。国際的に認知され命名されている元素は111種に昇ります。これらの元素はランダムに混合されているわけではありません。イオン(荷電粒子)となった元素は、プラスとマイナスで引き合い、組み合わさって電気的な中性を実現します。また、原子やイオンは高密度に空間を埋める様に、互いの位置関係を作ります。その結果、元素の集合体には高度の規則性が表れます。それが鉱物です。地殻の平均組成を見ると、地殻は基本的に長石のようなアルミノ珪酸塩鉱物で出来ている事に納得します。一方岩石の定義は緩いです。天然に産出する固体なら、全体として不均質であっても、また鉱物の定義から外れたものを含んでいても、岩石と呼べます。ほとんどの岩石は、複数の鉱物の集合体です。例えば花崗岩は石英、カリ長石、微長石、黒雲母などの鉱物で構成されています。しかし、実質的にほぼ一種類の鉱物しか含まない石灰岩もまた岩石の部類に入ります。天然ガラスは鉱物ではありませんが、ガラス質の黒曜石は岩石です。鉱物、岩石の定義は物質科学的な整理に基づいていますが、「鉱石」は、利用する立場からの分類です。鉱物であろうと岩石であろうと、利用用途があり経済的な採掘の対象となるものは鉱石と呼ばれています。